新型コロナウイルスの感染拡大の影響で家賃の延滞や空室が埋まらないなど損害が出ていると思います。このページでは、家賃収入が一時的に減っている不動産投資家(大家業)のみなさんが使える可能性のある融資制度と給付金(持続化給付金)を紹介します。
また、直接大家さんが受け取るものではないですが、テナントが受給できる家賃支援給付金についても解説しています。
融資の制度
大家さんが使える新型コロナ関連の融資は大きく2種類です。
信用保証協会のセーフティネット保証+制度融資か、政府系金融機関の特別貸付の2つです。
『いずれの融資も売上が、前年同月と比べて減っている』
ことが、融資の要件になっています。(要件満たしていても、審査に通るとは限りません。)
どちらの場合も審査スピードは共通して超速対応(執筆時点ではそうですが、今後はわかりません)ですし、金利や実質無料化の条件を見ても、どちらが有利・不利ということは無いと思われます。
どちらで借りるか迷うなら次の優先順位で良いと思います。
1.既存のローンの借入先:既存ローンの借り換えも含めて相談する
2.借入がない場合、日本政策金融公庫
3.審査に落ちたら、行ってない方にも申請。
借入がない場合、日本政策金融公庫としている理由は、1ヶ所で手続きが済むからです(その程度の理由です)。
民間(セーフティネット保証)の場合は、市町村の認定、金融機関・信用保証協会の審査が必要です。といっても、市町村の認定は、書類不備がなければ、すぐに認定書を発行してもらえますし、審査も早いので大きな違いはありません。
どれくらい借りるのか、何に使うか
とりあえずは売上(家賃)減少分の数か月分になろうかと思います。今後も何回も融資を受けられる使えますとなっているので、1年分はさすがに貸してもらえないと思います。
5年間据え置かれる、当面の金利はゼロ(あるいは低金利)とは言え、借入は借入ですので返済しなくてはいけません。
目の前の苦境を乗り切るための資金とは言え、借りたお金を生活費などの消費(あるいは浪費)にだけまわしていても破たんの先延ばしにしかなりません。コロナが収束しても景気が悪くなると家賃相場も下がっているかもしれません。そう言うことも見越して、もし融資を受けるなら、不動産の資産価値を上げることにお金をかけてもらえたらと思います。
補足:融資の申し込みは、順番待ちに時間がかかることがあるので、1発で終わるように書類は揃えていくことをおすすめします。
経済産業省のホームページ
https://www.meti.go.jp/covid-19/
支援策パンフレットは金融支援のほかにも今ある全ての支援(随時更新されています)がまとめられています。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
日本政策金融公庫の新型コロナウイルス特設サイト
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html
セーフティネットの市町村の書類は、各市町村のホームページに掲載されています。
福岡市の場合)https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/keieishien/index.html
持続化給付金最大200万円(個人事業主は100万円)
不動産賃貸業の場合、法人なら受給できます。
しかし、個人(不動産所得者)は受給できません。
売上の定義が事業収入となってしまっているためです(5棟10室の事業的規模であろうと不動産所得は、持続化給付金の対象の売上として認められていない!)。
現時点では対象外ですが、今後ルール変更もありうるので待ちましょう。
社会福祉協議会での借入
個人の生活費も厳しいという場合は、生活福祉資金制度による緊急小口貸付等の特例貸付。
社会福祉協議会で手続きを受け付けています。特例措置は、令和2年12月まで延長されているようです。※この借入については、すべて2020年11月25日時点で確認した情報です。
総合支援資金(生活支援費)特例措置の借入条件
収入減少や失業で生活困窮、日常生活が困難になっている人向けの貸付制度。
<貸付上限>
二人以上世帯 月20万円(3か月まで)
単身世帯 月15万円(3か月まで)
<据え置き期間>
1年以内
<返済期限>
10年以内
<金利>
無利子
(平時は、保証人ありの場合のみ無利子で、保証人なしの場合は年1.5%)
緊急小口資金として別途10万円限度の貸付制度もあります(個人事業主の場合は20万円が限度)。但し、返済期限は、2年以内です。
<手続きに必要なモノ>
印鑑、住民票(世帯全員分)、身分証明書(運転免許証写、健康保険証写等)の他に、給与の減収や失業したことがわかる資料
詳しくは、市町村の社会福祉協議会へ。
家賃支援給付金
大家さんへの直接支援ではありませんが、入居者に支援金がでます。家賃猶予や軽減の交渉前に要チェックです。
2020年7月14日から申請受付開始しています。オフィス・店舗のテナントさんがいる大家さんは、テナントさんに知らせてあげましょう。支援給付金を受けられると思っていない・制度を知らない事業者さんが意外に多いです。
申請方法がわからない、申請できないというテナントさんがいたら、公的機関や商工会議所・商工会に相談するよう伝えてください。無料でサポートしてくれるところがあります。
間違えてもインチキコンサルタントに依頼しないでください。滅茶苦茶簡単な手続きなのに、高額報酬を取られます。先は長いと思われるので1円を大事にしてください。
【給付対象者】
中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業者等、
5月~12月 において以下のいずれかに該当すれば給付金が支給される。
①いずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少
②連続する3ヶ月の売上高が前年同期比で30%以上減少(5月以降の連続3ヵ月のため、申請は8月開始となる)
【給付額】
申請時の直近の支払家賃(月額)に基づき算出される給付額(月額)の 6倍(6カ月分)を支給。給付率・給付上限額は下図の通り。(図の家賃や給付額は、1か月当たりの金額です。)
例)3つのケースを個人事業主・法人で計算してみます。
家賃15万円
法人 15万円 × 2/3 = 10万円 ×6ヵ月分 =60万円
個人 15万円 × 2/3 = 10万円 ×6ヵ月分 =60万円
家賃45万円
法人 45万円 × 2/3 = 30万円 ×6ヵ月分 =180万円
個人 37.5万円×2/3 + 7.5万円×1/3=27.5万円×6ヵ月分 =165万円
家賃が120万円
法人 75万円×2/3 + 45万円×1/3=65万円×6ヵ月分=390万円
個人 37.5万円×2/3 + 75万円×1/3 + 7.5万円×0 =50万円×6ヵ月分=300万円
(家賃に個人事業・法人による負担の違いは無いので、同額にしてほしかったですね)
賃借人が契約書を失くしていた場合などの対応
契約書を紛失していたり、名義が変わっていたり、契約条件が変わっていたり
契約期間が過ぎてしまっていたりといった時には、申請内容と証拠書類である契約書の内容が異なることになるため、現在の状況を証明する書類が必要となります。
大家さんまたは不動産管理会社にその依頼がくると思いますので、速やかに対応してあげてください。
中でも
契約期間は、暗黙の了解で自動更新になってはいるけど、契約上に明記されていないものというのが多いので、例外➂が多くなると思われます。(様式5-3 賃貸借契約等証明書)
●自宅兼事務所あるいは自宅兼店舗の人も事業として使用している分の家賃が対象です。
今後、持続化給付金のように追加のルール変更あるかもしれません。
●国の家賃支援給付に上乗せで家賃支援を行う地方自治体(都道府県や市町村)があります。
福岡県の場合は、家賃の15分の1(家賃が一定額を超えると30分の1)、法人60万円、個人事業者30万円を上限に給付されます。
条件は、国の家賃支援給付金を受給していること(他の条件は、納税地が福岡県内の事業者であることを除いて、国の家賃支援給付と同じ)。
国の家賃支援給付金を受けられれば、自動的に県の支援も受けられるということです。
さらに北九州市の休業協力要請に応じた事業者に対しては、家賃×10%の加算があります。
例)15万円の家賃の場合、国から10万円(3分の2)、県から1万円(15分の1)、これらの半年分なので(90万円のうち)66万円が支給されます。
●家賃支援給付金の申請ポータルサイトはhttps://yachin-shien.go.jp/
紹介している制度や条件は更新されていることがあります。最新の情報は、必ず各機関でご確認の上お申し込みください。
大家さんもテナントさんも無事にこの難局を乗り切れることを祈っています。