<医療保険制度>国民健康保険
(1)特徴(健保との違い)
- 健康保険など被用者保険に加入している人以外、日本に住所がある全ての人が対象
- 被扶養者は存在しない(全員が被保険者)
- 給付内容は、業務内・外を問わない(一般の健康保険は業務外のみ)
- 出産手当金と傷病手当金がない(一般の健康保険はある)
(2)保険者
- 都道府県および市町村
- 国民健康保険組合(医師、薬剤師、建設業、理美容業など)
(3)保険料
世帯ごとに前年の所得によって計算される。計算方法は、市区町村ごとに異なる。
<? 試験にはでないけど、計算方法を調べてみよう!>
例えば、福岡市(国民健康保険料)の場合、
総所得金額:「給与収入-給与所得控除」、「年金収入-公的年金等控除」
「事業収入-必要経費」、「配当所得」、「山林所得」
「譲渡所得(土地・建物の譲渡は特別控除後の金額)」など。
A.算定基礎となる所得 = 総所得金額-基礎控除額(33万円)
算定基礎 | ➀医療分 (全員) |
➁支援分 (全員) |
➂介護分 (40歳~64歳) |
|
---|---|---|---|---|
(ア)所得割 | A.算定基礎と なる所得 |
7.82% | 3.05% | 3.06% |
(イ)均等割 | 1人ごと | 21,814円 | 8,099円 | 9,737円 |
(ウ)世帯割 | 1世帯ごと | 22,020円 | 8,175円 | 7,448円 |
上限 | 1世帯ごと | 630,000円 | 190,000円 | 170,000円 |
A.算定基礎となる所得が300万円(41歳)の3人世帯でシミュレーション※総所得は333万円
➀医療分
3,000,000円×7.82% + 21,814円×3人 + 22,020円
=234,600円 + 65,442円 + 22,020円
= 322,000円(百円未満切捨て)
➁支援分
3,000,000円×3.05% + 8,099円×3人 + 8,175円
=91,500円 + 24,297円 + 8,175円
=123,900円(百円未満切捨て)
➂介護分
3,000,000円×3.06% + 9,737円×2人 + 7,448円
=91,800円 + 19,474円 + 7,448円
=118,700円(百円未満切捨て)
➀ + ➁ + ➂ = 年間564,600円
令和2年度分(令和2年6月24日福岡市ホームページを確認)の福岡市の国民健康保険料です。お住まいの市区町村の最新情報は、自身で確認のこと。
同じ福岡県内で保険料(保険税)が最も低い大野城市(国民健康保険税)と比較。
国民健康保険税は、年間 439,000 円
税額の内訳
医療分 年間 303,000 円
支援分 年間 75,000 円
介護分 年間 61,000 円
※大野城市役所がホームページ上で公開している保険税シミュレーションを使用
所得333万円でも保険料(税)は年12万円(1ヵ月1万円)以上の差がある。
率にすると3.6%(これは大きいですね)。
このように近隣の市町村でも大きな違いがあるので、
国民健康保険の人が引越を検討する場合には要注意。
国民健康保険料と国民健康保険税の違い
福岡市と大野城市を比べたが、福岡市は国民健康保険料、大野城市は国民健康保険税。
国民健康保険料と国民健康保険税は、基本的に同じだが、根拠となる法律が異なるため次の違いがある。
消滅時効の期間の長さ (保険税 > 保険料)
差押の優先順位 (保険税 > 保険料)
遡及期間の長さ (保険税 > 保険料)
保険税の方が取り立てに関しては厳しめということ。保険料・保険税どちらを取るか市町村が選択できる。
(4)保険給付
- 給付内容は、健康保険とほぼ同じだが、出産手当金・傷病手当金はない。
- 自己負担割合は、健康保険と同じ(健康保険の自己負担割合を確認する)