個人成りの債務引受、法人の解散と休眠と売却

②老後資金・相続⑤企業経営・財務
スポンサーリンク

法人の解散・清算、休眠、売却の検討過程

法人から個人成りをすることになったとき、法人の解散・清算と休眠、あるいは売却いずれの方法にするのが良いかを検討した過程を実体験に基づきまとめました。法人の債務の個人引受にも触れます。

結果的に筆者は解散・清算を選びました。

【基本情報、前提】

会社形態:合同会社

本店所在地の状況:賃貸事務所(移転は決定)

許認可など:宅建業免許(廃止する方向)

債務:日本政策金融公庫、民間金融機関それぞれから借入あり(個人で引受けたい)

税務申告:自社で対応(税理士に依頼していない)

登記:自社で対応(司法書士に依頼していない)

3つの選択肢

事業は個人事業で継続することにして、法人の進む道は、➀解散・清算、➁休眠、➂売却の3つのいずれかです。

それぞれの結末とメリットを考えてみました。

解散・清算
・数カ月後に無くなる

・社会保険は無くなる(国年・国保に変わる)

・宅建業は廃業(免許だけの譲渡はできない)か個人で免許取り直し

メリット

・後ぐされがない

休眠
・法人は残る

・社会保険は無くなる(休業→給料も無し→当然社保も無し)

・合同会社はみなし解散がないので解散・清算しない限り存続

宅建業は廃業※

<メリット>

・手続きが楽:税務署などへの届け出だけで良い

売却
・誰かの手に渡り存続する(かもしれない)

・宅建業免許もそのまま譲渡

<メリット>

・現金が入る

・手続きが楽:出資譲渡だけでよい。

※休眠時の宅建業免許について

休眠時も宅建業免許を残したまま、時間をかけて法人を売却できないか、とも考えましたが、次のように宅建業法第66条6項に1年以上事業を休止したときは当該免許を取り消されることになっているし、休業するのに免許を続けるのはおかしいかなと思い、この方法はとらないことにしました。

第六十六条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。

六 免許を受けてから一年以内に事業を開始せず、又は引き続いて一年以上事業を休止したとき。

個人成りの債務引き受け

どの方法を選択するか決定する前に、債務(借入金)を個人事業主に移管できるのかという大きな不安がありました。法人成りの債務引受は情報が多いのですが個人成りの情報がほとんどなかったためです。

結果的には、個人成りでも手続きができることになり、その不安は杞憂に終わりました。

但し、無条件に変更できたわけではなく、個人成りする前の状況と個人成りした後どのようにしていくのか、個人の信用も見られていたと思われます。

実際に金融機関側でどのような評価(債権者区分が低くなるなど)をされたかはわかりませんが、金利や返済条件は変わっていません。

日本公庫:清算人登記したあとの全部事項証明書が揃ったら書類を送付してくれる。

休眠であれば、登記がないので税務署等への異動届出書で良いのだと思います。

民間金融機関:今回は一括返済することにしましたので、債務引受は行いませんでしたが、

個人成りでも債務引き受けは可能なようです。

債務に関する手続きは次のような流れになりました。

債務の引き受けをしたいという連絡

(解散や休眠の)手続き開始

(解散や休眠の)手続き完了後、証拠書類が揃ったら金融機関に連絡

金融機関との間で必要な手続き書類が送付されてくる。
記入後、証拠書類を添付して提出。

債務引受契約を締結、引き落し口座の設定

デメリットや不安材料を挙げてみる

債務が何とかなることがわかりましたので、解散か休眠か売却かを決めていきます。

それぞれのデメリットや不安を書き出してみました。

解散・清算
・コストがかかる

解散登記:3.9万円、清算結了登記:0.2万円
官報掲載:約4万円、清算結了までの維持費用(主に家賃)

休眠
・登記する住所が必要(自宅orバーチャル)

・税務申告は毎年必要

・住民税の均等割がかかる場合がある

(福岡市の場合はゼロのようです)

売却
・すぐに買い手が見つからないかも。

→家賃、宅建業免許、住民税など維持コスト。

・会社の価値はの宅建業免許の(2)くらい。

[免許の(2)は、5年ごとの更新を1回終えて2周目ということ。

多いほど長く営業してきたということ。]

・買い手が後々何か悪さをしたときに巻き込まれないか

売却を検討

経済的にも手続きの手間も売却がすぐできるなら、売却が理想的ということでM&Aの仲介会社に問合せしました。

ところが、

〇M&Aの仲介を行っている企業に問合せも反応悪い

〇宅建業の法人の売買実績を見ると、大都市部でも200-300万円程度。

〇2月末決算で3-4月に、年内(12月)には方を付けたい。

動いてみたのですが、思うように話が進まないこと、売却後に謄本に名前が残り続けること、そして200-300万円のために得体のしれない不安を抱え続けて生きていきたくないので売却はやめることにしました。

(もう少し時間的な余裕をもって動いたら違う結果になっていたかもしれません。)

解散・清算に決定

休眠か解散かに絞られました。

コストでは解散・清算の方がまとまった出費になるのですが、

休眠は

  • 住所を確保しなくてはいけなかった(バーチャルで住所借りすると家賃発生)
  • 税務申告は続けないといけない(0円申告なので難しくはない)
  • 結局解散するまで会社が存続する(株式会社や一般社団のような法定の更新登記がないため、みなし解散がない)

と中途半端な状態になるので、結局解散・清算を選ぶことにしました。

経済的には不合理な選択だったのかもしれませんが、後ぐされのなくすっきりとさせたい(廃止してもまたやる時が来たら始めたらよい)、目に見えないリスクは取りたくない、という考えを優先することにしました。

解散・清算を決めたあとは、やるべきことを洗い出し、手作りの進捗管理を作って1つずつ処理していきました。一人会社だったのですが、やらなければならないことはそれなりに多くなりました。固有名詞は●にしています。見辛いかもしれませんが、参考にしてください。(この画像には入りきりませんでしたが、この表の下に個人的な手続き(年金や国民健康保険など)もリストに入れています)。

法人を清算し個人事業成りしたときの進捗管理表

 

さいごに

法人から個人成りをすることになったとき、法人の解散・清算と休眠、あるいは売却いずれの方法にするのが良いかを検討した過程を紹介しました。

誰かの役に立つかはわかりませんが、個人成りをする時や事業承継する時ののヒントになれば幸いです。

解散・清算の手続きについては、落ち着いたらまとめるつもりです。

スポンサーリンク
家計見直し・資産管理| かんぎフィナンシャル
タイトルとURLをコピーしました