中小企業の資金調達<中小企業の資金計画➃>

⑤企業経営・財務マネー講座

中小企業の資金計画の4回目は「資金調達」です。

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直接金融と間接金融

資金調達は、直接金融と関節金融に大別されます。

直接金融と間接金融の違いは、お金の出し手(投資家・預金者)とお金を必要とする人(ここでは中小企業とします)とが直接お金のやり取りをするか、間接的にやり取りをするかです。

直接金融と間接金融の違いを図で説明

直接金融は株式や債券を発行し、投資家に購入してもらうことにより、資金調達を行う方法です。

間接金融は、主に銀行からの融資で資金調達を行う方法です。銀行が預金者から預かった(借りた)お金を企業・個人に又貸し(またがし)しているので間接となります。

日本における中小企業の資金調達の多くが、間接金融(金融機関からの借入)です。

株式(新株)の発行による資金調達

株式(新株)の発行には、株主割当増資、第三者割当増資、公募増資といった方法があります。

株主割当増資:既存の株主に株式を割り当て資金を調達する方法割当増資の例をできるだけ簡単に説明
第三者割当増資:特定の第三者(取引先や金融機関、従業員など)に株式を割り当て資金調達をする方法第三者割当増資の例をできるだけ簡単に説明
公募増資:不特定多数の第三者(投資家)から広く募集して資金調達をする方法

社債の発行による資金調達

社債には、公募債と私募債とがあります。

公募債:50人以上の投資家に対して社債を発行し資金調達
私募債:50人未満の投資家に対して社債を発行し資金調達

中小企業が採用するとしたら、私募債の中の『少人数私募債』になるかと思います。直接金融は、中小企業と言っても大企業に近い中小企業や株式上場を目指すベンチャー企業向けの資金調達方法です。

信用保証協会が社債を保証し、金融機関が引き受ける(社債を購入してくれる)特定社債保証制度があります。

中小企業とは

中小企業は中小企業基本法で次のように定義されています。中小企業基本法の中小企業の定義
大企業に限りなく近い(資本金数億円、年商数十億)という企業、株式上場を目指すベンチャー企業から、1人で経営している企業や個人事業主まであり、まったく規模の違う事業者がひとくくりになっています。

他の法律などでは、中小企業の定義(範囲)が異なります。資金調達など受ける時は確認が必要です。

融資(間接金融)の種類

証書借入(貸付):銀行との間で結ぶ金銭消費貸借契約証書を差し入れて受ける融資。主に長期の融資で利用される。
手形借入(貸付):銀行に約束手形を振り出し、銀行は手形の額面から利息を引いた金額を融資する。短期融資に用いられる方法。
手形割引:満期前の手形を金融機関が手数料・利息を引いて譲り受けることで、現金化を急ぐ時に用いられる方法。
当座借越(貸越):当座預金残高が不足していた時に、あらかじめ金融機関と契約した極度額の範囲で金融機関が不足額を貸し付けてくれる。
ABL:動産、在庫や売掛債権を担保に融資を受ける方法。Asset Based Lending(アセット・ベースト・レンディング)の略
平成28年中小企業白書によると、ABL(Asset Based Lending)は近年、増加傾向にある。

その他の資金調達

その他の資金調達方法として、ファクタリング、クラウドファンディングなどがあります。

ファクタリング

ファクタリングとは、売掛債権などを買取業者に買い取ってもらう資金調達手段です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、専用のインターネットサイト(MAKUAKE、CAMPFIRE、READYFORなど)を通じて、資金を調達する方法です。購入型、寄附型、金融型の3つに分けられますが、主流は購入型です。
総費用は高く(成功時の運営会社への手数料など)、所要時間は他の資金調達方法に比べて長いですが、初期コストがかからないので、新商品や新サービスのテスト販売、市場調査に向いています。
多くの人の共感を得られる取り組みの場合は、寄附と同様の出資が集まる場合もあります。クラウドファンディング市場は急成長しており、注目の資金調達方法です。

<関連記事>クラウドファンディングとは

 

補助金・助成金

かかった経費の一部を、後から補ってもらうというのが補助金や助成金です。補助金や助成金の対象となる事業を遂行するために先に資金を確保しておかなければなりませんので、補助金・助成金自体は資金調達ではありません。

中小企業に関連する補助金としては、経済産業省の『ものづくり補助金』、『小規模事業者持続化補助金』、『IT導入補助金』、助成金は、厚生労働省の雇用関係の助成金などがあります。そのほか地方自治体、民間団体の補助金もあります。

おわりに

中小企業の資金調達について学習しました。多くの中小企業が、煩わしさ(支配権、手続き)とコスト面から直接金融で資金調達を行う企業は少なく、代表者借入と銀行融資ですませているのが実態です。最適な方法を提案するためにも色々な資金調達方法のひきだしを持っておきたいものです。

 

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