労災保険(労働者災害補償保険)の概要と主な保険給付内容について解説します。
労災は、労働者が業務上や通勤途上での病気やケガなどに対して保険給付をしてもらえる制度です。
新型コロナウイルス後に通勤時の満員電車が嫌で会社に黙って、自転車通勤をしているけど問題ないかな?とか
個人事業主・フリーランスだけど、労災入れるのかな?とか
自分や家族が仕事中に大けがして、働けなくなったときにどうなるのかな?といったように
身近な問題を照らしながら学習すると頭にどんどん入ってくるはずです。
労災の概要
保険給付の事由 | 業務上・通勤途上の病気、怪我、障害、死亡 |
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主要な保険給付 | 療養補償給付(療養給付) 休業補償給付(休業給付) 遺族補償年金(遺族年金) |
対象者
(被保険者・被扶養者) |
事業所に使用されている労働者 個人タクシー運転手・配送業、建設工事の一人親方などは、 特別加入制度で労災に任意加入できる |
保険者 | 政府(窓口は労働基準監督署) |
保険料 | 全額事業主負担
労働者を1人でも使用していれば、強制適用事業者になる |
労災保険の通勤途上とは
通勤途上のことをイラスト使って説明します。
このケースはどうなんだろうと疑問を持ち、調べてみてください。
厚生労働省や地方労働局のホームページで調べることができます。
日用品・食品の買い物・通院など日常生活に必要な最小限のやむを得ない場合の経路逸脱・中断は
元の経路に戻れば。通勤になる。逸脱・中断している間は通勤にならない、ということ。
普段バス通勤しているが、
お祭りの日で渋滞が予想されたので自転車で通勤。いつもと違う経路だが最短経路で通勤、そして負傷(合理的な手段、経路なので「通勤」になる)
※但し、経路や手段の勝手な変更は社内規定で禁止されていたり、交通費の返還を求められたりするので規程等をよく確認しておきましょう。
コロナ禍で自転車・自家用車通勤に変えた時は
最近新型コロナウイルスの影響で、通勤・帰宅時の人混みを避けるため、自転車・自家用車通勤が増えていると思います。
労災を学ぶことで、勤め人の場合は、必ず職場に届け出ないといけないことが理解できたと思います。
通勤手当のちょろまかしは、労災とは別の問題です。
労災保険の主な給付の種類
労災保険の主な給付の種類は次のとおりです。
まずはどのような時に何が支給されるかを知っておきましょう。
いくらについては、FP試験で重要な点のみ記載しています。
(1)療養補償給付(療養給付)
労災病院・労災指定医療機関:
業務災害通勤災害による傷病により療養する時の必要な療養
労災病院・労災指定医療機関以外:
業務災害又は通勤災害による傷病により療養する時の必要な療養費の全額
業務上災害の場合、自己負担額無し
通勤災害の場合、初診時200円の自己負担必要。
(2)休業補償給付(休業給付)
病気やケガの療養のため休業し、賃金が支給されない日が通算4日以上※ある場合、4日目から給付基礎日額の60%が支給される。
業務災害の場合は、3日目までは事業主が休業補償する。※連続である必要はない
別途、特別支給金が給付基礎日額の20%上乗せで支給される。
労働基準法の平均賃金相当。事故や病気確定の日(直前の給与確定日)の直近3か月間の賃金を暦日数(出勤日ではなくてカレンダーの日数)で割った1日平均の賃金。休業補償の計算においては、水準により増減の調整があり、上限・下限もある。
(3)傷病補償年金(傷病年金)
ケガや病気で療養し始めてから1年6ヶ月経過後、傷病が治癒しておらず、傷病等級1-3級に該当する場合に支給
(4)障害(補償)給付
業務上の負傷等が治癒したあとも障害が残った場合に障害等級に応じて年金または一時金が給付される。
別途、障害の程度に応じた障害特別支給金(一時金・年金)あり。
(5)遺族(補償)給付(年金または一時金)
業務災害または通勤災害で死亡した時に、遺族の人数に応じて支給される年金。遺族がいない場合は、一時金。
別途、遺族特別支給金あり。
死亡した人の収入で生計を維持していた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹だが、
妻以外は、高齢・年少あるいは一定の障害があることなど要件がある。
(6)葬祭料・葬祭給付
業務災害または通勤災害により死亡した人の葬祭を行う時に支給される。
315,000円+給付基礎日額30日分(< 給付基礎日額60日分ならば、60日分が支給される)